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【創ろう!元気な浜松&静岡県】 令和7年11月3日
静岡県議会議員 田口 章 メールマガジン<第175号>
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みなさま、こんにちは。静岡県議会議員の 田口 章 です。
やっと秋らしくなってきましたね。昨日は少々肌寒さも感じましたが、浜名湖
ガーデンパークに行ってきました。「うなぎまつり」は多くの来場者で賑わっていま
した。秋桜もまさに見ごろで、まだ数日は楽しめそうです。
今月号は長文になってしまいましたが、県財政の問題点をご報告いたします。
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◎目次
1.県財政は「危機宣言レベル!?」
2.活動日程
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1.県財政は「危機宣言レベル!?」
10/22(水)、平木副知事は臨時記者会見を開き、令和8年度当初予算
編成の状況について、「財源不足640億円」、「財政危機宣言レベル」、
「資金手当債で自転車操業」などと説明しました。
報道各社も大きく取り上げましたので、詳細は記載しませんが、参考になる
県のサイトをご紹介します。この中にある「令和8年度当初予算編成方針」
「静岡県の財政状況と今後の取組方針」に詳しく書かれています。
私はこの問題に関し、10/24(金)に行われた決算特別委員会総務分科会
で、令和6年度の決算に関連して、「(1)実質収支47億円の黒字」「(2)資
金手当債」について質問するとともに、下記のとおり意見を述べました。
(1)については、ウソではないが「黒字」という伝え方に問題があり「単年度収
支」、「実質単年度収支」まできちんと公表すべき。しかも行政用語はわかりにく
いので、わかりやすく伝えることが重要。
(2)は「退職手当債」「行政改革推進債」とも償還原資となる財源ねん出が
全く不十分であり、事業の廃止・見直しが不可欠。・・・という趣旨です。
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(1)「実質収支47億円黒字」なのになぜ「財政危機宣言レベル」なのか?
まず下記のリンクをご覧ください。
★令和6年度一般会計決算見込額(静岡県記者提供資料)
『令和6年度静岡県一般会計決算は、県税収入額が最終予算額に対し
26億円程度上回って確保することができたことや、経費節減及び歳入確保の
努力を行った結果、実質収支は47億円程度の黒字となる見込みです。』
と書いてあります。
この文を見て、県財政が「危機宣言レベル」と思う人はいないと思います。
にもかかわらず、なんでこんなことになったのか…。
決算で公表された資料を詳しく見るとわかります。字が小さくて申し訳あり
ませんがぜひご覧ください。

記者発表資料では、@の実質収支を「47億円黒字」として公表しています。
しかし、決算資料にはさらに指標が示されており、A単年度収支は▲20億円、
B実質単年度収支は▲35億円余となっています。
行政用語は難しいですよね。こう書かれても何だかよくわからないと思います。
そこで一般会計を「あきらくんのお財布」として説明してみます。
お財布の中身を、月単位にして、収支をシンプルにして、説明します。

〇7月
妻からおこづかいを20,000円もらい財布に入れる
支出は15,000円
月末の財布には5,000円残っている
「単月収支」は+5,000円
〇8月
妻がご機嫌で、おこづかい1割アップの22,000円
月初の財布の中は先月分を加えて27,000円になる
気が大きくなって20,000円使ってしまう
月末の財布には7,000円残る
この月の「単月収支」は22,000円−20,000円=+2,000円
※現金(財布)とは別に、カードで1,000円買い物
銀行口座からは引き落とされるので、これも「支出」に加えると
収支残は+1,000円に減る(←これが実質単月収支)
〇9月
妻は今月もご機嫌で22,000円のおこづかい
財布の中は29,000円
部下に気前よく奢って25,000円使う
月末の財布は4,000円
単月収支は22,000円−25,000円=▲3,000円(使いすぎ…)
※今月もカード1,000円使用
実質単月収支は▲4,000円
〇10月
おこづかいは従来の20,000円に戻された(泣)
月初の財布の中は24,000円
先月奢った部下にイイ格好して25,000円使う・・・が、
財布のおカネが1000円足りない!
キャッシングローンで5,000円借りて、何とか支払う(汗)
月末の財布の中身は、借り入れ含め4,000円
単月収支は25,000円−25,000円=±0
※カードは使わなかったが、キャッシングローンの返済で、
銀行残高は5,000円減るので、
実質単月収支は▲5000円! 預金がピンチに!
<解説>
〇おこづかいは「税収」と考えてください。税収は増えることもあれば減ること
もあります。
〇財布におカネがあると思って、身の丈以上の生活をすると、いざおカネが
無くなった時に、なかなか生活水準を落とすことができません。
〇実質収支は前年度の剰余金が入っているので、単年度(単月)の収支を
表していません。把握するには単年度収支を見ることが大切です。
⇒重要なのは「入るを図りて出ずるを制す」、すなわち「収入の範囲に支出を
抑える」ことです。
また、わかりやすい言葉で、正しい情報を伝える必要もあります。
〇10月の実質収支が+4000円、単月収支が±0というのをみて
「キャッシングローン借りているのに、何かへんだな?」と思いませんか?
⇒公会計では「借りたおカネ」も「おこづかい」も同じ「収入」なのです。
借金をすれば、現金(資産)は増えますが、負債も増えることを忘れては
いけません。
しかし単年度の収支計算には、その年の返済分しか表れません。
家計でも借金と預貯金のバランスは重要ですが、公会計においても
お財布以外の資産(基金)と負債を「貸借対照表」で管理することが
大切です。
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(2)「資金手当債」の問題点
私は、借金がすべて悪いとは考えていません。もちろん必要最小限に
越したことはありませんが・・・。
家を建てる時、ほとんどの人は住宅ローンを組みます。一度に払えない
というのが大きな理由ですが、自治体も同じです。 自治体も道路や橋、
建物などを造る時には借金します。一度に払うのは大変ですし、これから
先30年50年と多くの人が使うので、受益者負担を平準化する意味も
あります。
ところが、スジの悪い借金が二つあります。
ひとつは「資産形成を伴わない借金」で補助金や人件費などに消えて
しまうもの(臨時財政対策債など)。
次に 「お金が足りない時の一時しのぎの借金」、これが「資金手当債」
です。↑の「キャッシングローンで5,000円借りて、何とか支払う(汗)」が、
まさにこれに当たります。
この「資金手当債」が、積もり積もってR6年度末1382億円になって
しまいました。(臨時財政対策債を除く)通常債残高1兆5846億円の
約の8.7%を占めるに至っています。
県が所管している「資金手当債」には「退職手当債」「行政改革推進
債」「調整債」があります。
「退職手当債」は県職員の退職金を払うための借金です。定員適正
化によって削減した人件費で返済するから前借りさせてよというものです。
「行政改革推進債」は色々な用途に使います。事業をやりたいけどお
金がない、そんな時、行革やって財源ねん出して返済するから、前借しち
ゃおう…というものです。
「調整債」は国の税制改革により、以前の税収が見込めなくなったとき、
足りない分を借金してよい…というものです。
いずれも返済に対する国からの支援はなく、将来の県民サービスを削って、
あるいは将来の県民に負担を背負わせて、退職金に充てたり、県民サービ
スを提供したりするものです。
鈴木康友知事は、10/27の定例会見で記者から問われ「もっと早く
気づいて手を打ってほしかった」とコメントしていました。
そりゃそうでしょうよ…。
ここに至った理由はいろいろありますが、「資金手当債」に対し、私は
世代間の負担の公平性から、常々警鐘を鳴らしており、忸怩たる思い
があります。
言い訳になってしまいますが、これまで本会議で取り上げてきた質問
と答弁を会議録の一部を抜粋してご紹介します。
最初の質問は県議になったばかりの2011年度。2度目は「資金手当
債」頼みの財政運営が明らかになった2019年度。そして3度目は「自転
車操業」が顕在化した2022年度です。
再質問もしていますが、今思うと、詰めが甘かった…と反省しています。
★資金手当債に関する本会議質問(PDF)
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このほか私は、2013年10月に「財政危機宣言を出すべき」と指摘
しています。県はその後しばらく資金手当債を発行せず、堅調な財政
運営を心掛けていましたが、2017年度から一気に悪化しました。
行財政改革を最優先政策とし「未来にツケをまわさない」をスローガ
ンにしてきた私としては、公約実現どころか、14年半、何も仕事をして
こなかったと評価されても仕方ない状況になってしまいました。誠に申し
訳ありません。
・・・とは言え、「今より早いときはない」。
「入るを以て出ずるを制す」を大原則に、人口減少社会を踏まえて、
・ビルド&スクラップ(事業の廃止・見直し)
・徹底した歳入確保
・資産経営
・職員の財務リテラシー向上
・AI・ITによる生産性向上
・県と市町と連携した行政サービス提供体制の最適化
・定員適正化
・税源を生みだす産業政策
・・・などなど、財政健全化に全力で取り組みます。
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2.活動日程
○10月の主な活動
01(水) 総務委員会
07(火) 小学校訪問
08(水) 議会運営委員会、自治連会議
09(木) 本会議(9月定例会閉会)
11(土) 入野地区秋まつり
12(日) 労組大会、入野地区秋まつり
14(火)〜16(木) 常任委員会視察(長崎市・大村市・嬉野市)
18(土) スズキ本社秋まつり、大平台フェスティバル
19(日) 労組大会、浜松労福協まつり
22(水) 決算特別委員会、R8当初予算説明
24(金) 決算特別委員会総務分科会
25(土) スズキ工場秋まつり
26(日) 労組大会、入野地区みんなのスポーツ
27(月) FM県政報告
28(火) 労組大会
29(水) SNS適正利用対策特別委員会、連合浜松幹事会
30(木) 自治連視察(県原子力防災センター)
31(金) 決算特別委員会、労組大会
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○11月の主な予定
01(土) シニアクラブ運動会、ナイスハートふれあいのスポーツ広場
02(日) 浜名湖うなぎまつり
03(月) シニアクラブ県政報告
04(火) 会派視察(八戸市)
05(水) 東京モビリティショー視察
06(木) 他労組議員との意見交換
08(土) 自治連会議
09(日) 労組大会
12(水) 銚子市視察
13(木) 香取市・四街道市視察
14(金) 国政研修会、慶應議連総会
15(土) 連合クリーンキャンペーン、労組研修会、スズキ工場秋まつり
17(月) 中学校訪問、労組大会
19(水) SNS適正利用対策特別委員会
21(金) 中学校評議員会、会派総会、連合浜松大会
22(土) 入野協働センターまつり
23(日) 入野協働センターまつり
24(月) FM県政報告
25(火) 議会運営委員会
27(木) JAW議員連絡会
29(土) 連合健康ウォーキング、拉致問題集会
30(日) 新政あいち意見交換
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