臨財債依存への懸念
県は財政健全化目標のひとつに「“通常債”2兆円以下」という指標を持っています。この水準はクリアしているのですが、問題は“通常債”でない借金の「臨時財政対策債」です。
「臨財債」は「地方交付税」の身代わり措置です。
本来「地方交付税」として自治体に現金を交付すべきところを、国の財布におカネがないため、地方での起債を許可しているものです。
国の財政状況も厳しい中、「臨財債」の比率が年々高くなってきています。静岡県の「地方交付税」と「臨財債発行可能額」の推移は次のとおりです(単位は億円)。
地方交付税 臨財債 合計に占める臨財債比率
H16 1626 526 24.4%
H17 1669 403 19.4%
H18 1424 364 20.4%
H19 1265 329 20.6%
H20 1145 400 25.9%
H21 1466 809 35.6%
H22 1664 1517 47.7%
H23 1581 1221 43.6%
H24 1611 1258 43.8%
H25 1390 1360 49.5%
「臨財債」の25年度末残高は8669億円の見込みです。
国は「後年度地方交付税として補てんする」としていますが、私にはとても国の言うことを信じることはできません。
すでに交付税額と臨財債発行額が同じくらいになっています。これは「本来、住民サービスに資するべき「地方交付税」が、「臨財債」の償還原資ですべて消えてしまう」ということに他なりません。
「臨財債」の発行に歯止めをかけるには、景気の劇的な回復で国の税収が大幅に増えるか、あるいは歳出を削減するしかありません。
国の税収が、今後、極端に増えるでしょうか。もちろん、日本の潜在成長力を否定するつもりはありませんが、少子高齢化の中、高度成長期のような大幅な税収増は期待できません。
「歳出削減」。これには、県民サービスの見直し(=引き下げ)が必要になります。
しかし私たちは、将来世代のために、“身の丈”にあった生活をすべき時に来ているんじゃないでしょうか・・・。