佐鳴八景
3/21のブログ(開幕!浜名湖花博2014)で「遠江八景」のことを書いたところ、地元の大先輩から「この地には江戸時代から親しまれている『佐鳴八景』があるよ」とのメールをいただきました。
身近な佐鳴湖畔の「佐鳴八景」。私も以前から親しんでいましたが、あらためて大先輩のメールを参考に紹介させていただきます。
「佐鳴八景」を選定したのは、江戸後期の入野村の住人 竹村広蔭 氏(1793年-1866年)。竹村広蔭氏は文人として知られており、さまざまな著書を残しています。そのひとつの「門田の八束穂」という歌集の中で「佐鳴八景」を記しています。
室町時代の選と言われる「近江八景」にインスピレーションを得て、江戸時代に「佐鳴八景」を詠った竹村広蔭氏は、時代背景を考えると、すばらしい文人だったと驚かされます。
平成の「遠江八景」と合わせて多くの方に知っていただきたいですね。
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「大屋橋夕照(おおやばしのせきしょう)」 → 佐鳴橋
ひむがしの浜松の市過来つつ夕日にわたるをちこちの人
「北浦帰帆(きたうらのきはん)」 → 帰帆橋
真帆引きて舟をならべてきほふなる北浦風の吹くにまかせて
「少林山秋月(しょうりんざんのしゅうげつ)」 → 臨江寺
影高くうき世はなれて照すかな少林山の秋の夜の月
「西湖山晩鐘(せいこざんのばんしょう)」 → 龍雲寺
湖の山もほのかに見えねども霞わけくる入あひのかね
「大良暮雪(たいらのぼせつ)」
はらひあへずおもげに見えて見る人はおほらの山の雪の夕ぐれ
「大山夜雨(おおやまのやう)」
夜の雨のはれ行くままに吹く風の音にぞひびく大山の松
「太田落雁(おおたのらくがん)」
かきつらね落ち来る雁の玉づさの数も太田の霧の明ぼの
「三ツ山晴嵐(みつやまのせいらん)」
山姫のさらせる布とみつ山のあらしによする磯のしら波
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今では周囲を住宅地に囲まれる佐鳴湖ですが、当時の郷愁あふれる風景が偲ばれます。
詳しい場所は書きませんが、「佐鳴八景」で検索すると、数名の方がネット上で解説していますのでご参照いただければと思います。
ちなみに竹村広蔭氏は、1854年の「安政東海地震」について、その著書「変化抄」に記しています。詳しくは下記をどうぞ。
折しも「チリ沖地震」の津波が心配されています。明朝、何事もなければよいのですが…。