よい自治体とは何か?
先日の視察の移動時間に、「よい自治体とは何か -財務分析からわかる地方自治体の現在と将来-」という本を読みました。
◆この本では、「①資金収支の健全性」、「②財政の自立性」、「③人口減少への対応力」、「④行政効率化の状況」の4つを指標に分析し、“よい自治体”をスコアリングしています。
「①資金収支の健全性」は、借入の返済能力(地方債残高÷プライマリーバランス)で計っています。
「②財政の自立性」では自主財源の大きさを計るために、「経常収支比率」でなく「修正経常収支比率」という指標を用いています。
経常収支比率=経常経費充当一般財源等÷経常一般財源
修正経常収支比率=経常経費充当一般財源÷自主財源
経常一般財源には地方交付税や臨時財政対策債が含まれますので、確かに“修正”の方が自立性を見ることができます。
「③人口減少への対応」は人口動態と財政の関係を分析しています。自主財源は生産年齢人口との相関、費用は主に高齢者人口との相関があるとしています。少子高齢化は地方自治体の財政に大きく影響します。
「④行政効率化の状況」は、具体的な評価手法は示されていませんでした。
なお、すべての自治体を合せた2040年の推計では、自主財源と経常経費充当一般財源等との差に、年間8兆円の財源不足が生じるとしています。現在の交付税制度ではとても対応できません。
◆また「人口規模」と「経常経費充当一般財源等」の相関では、おもしろい分析をしています。
経常経費充当一般財源等=固定費+総人口×一人当たり変動費
政令市を除く1699市町村の決算データを上記の式に当てはめると、固定費が17億円、変動費が一人当たり18万円となるとのこと。
一人当たり自主財源の平均が約20万円ということで、損益分岐点を計算すると、人口8万人ほどの規模になると固定費をカバーできるということのようです。さらなる合併が必要でしょうか…。
◆スコアリングの仕方(MTシステムとマハラビノスの距離???)は私にはよくわかりません(少ないほど良いとのこと)。結果だけみると・・・、
静岡県の「よい自治体」スコアは2.80で、1位の東京都1.07に大きく水をあけられて、47都道府県中28位となっています。
さらに2040年の予測スコアは5.13。1位の東京も2.25と悪化していますが、順位はなんと42位にランクダウン。
よくわからない指標ではありますが、今から財政健全化を進めていかないとこんなになっちゃうという警鐘ですね。
詳しい分析は財政と統計の職員に聞いてみようと思います。