エネルギーミックス
3月28-29日、下記のエネルギー関連施設を訪問しました。会派のエネルギー問題研究会では、今後のエネルギーの供給と利用のあり方を研究しています。
①九州大学 水素材料先端科学研究センター(福岡市西区)
②九州電力 八丁原地熱発電所(大分県玖珠郡九重町)
③(株)日田ウッドパワー 日田発電所(大分県日田市)【写真】
④照葉スマートタウン(福岡市東区)
以下簡単に概要を記載します。
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①は2006年に産業技術総合研究所の研究センターとして九大内に設置されました。2013年からは九州大学「HYDROGENIOUS」となり、現在、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素利用技術研究開発事業」を進めています。
研究員135人を擁する世界的な研究拠点で、FCV(燃料電池自動車)や水素ステーションなど水素インフラの開発に必要な基礎的な研究や解析を行い企業の製品開発をサポートしています。
2013年の「日本再興戦略」では、2030年に家庭用燃料電池(エネファーム)530万台導入、FCVの世界最速普及を目指しています。
FCVはトヨタがすでに発売しておりホンダも参入予定で、今後も市場の伸びが見込まれます。折しも静岡県内にも初の移動式水素ステーションが開設しましたが、インフラ整備が課題です。
環境と経済性の両立のためには水素エネルギーの活用が求められますが、安全性など課題はたくさんあります。静岡県でも民間企業が水素エネルギーの活用に向けて研究開発を行っていますが、こうした研究支援について、検討していく必要があると感じました。
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②は昭和52年完成の1号機と平成2年完成の2号機、各55000kW 計11万kWの出力を持つ日本最大の「地熱発電所」。平成18年には「バイナリ―発電所」を開設した。
「地熱発電」は化石燃料を全く使わないクリーンエネルギーですが、九州(大分県、鹿児島県)、東北(秋田県、岩手県、宮城県、福島県)など一部の地域に集中しています。
これは「帽岩(キャップロック)」という地形的特徴が必要なためで、同じ温泉地帯であっても静岡県では難しいとのことです。
一方、「バイナリ―発電」は「水」ではなく沸点の低い媒体(ここではペンタン)でタービンを回す方法で、前述の地形的特徴をカバーできる手法です。ここでは噴出勢力が減衰した蒸気井を活用していました。
静岡県では「地熱発電」は難しいですが、「バイナリ―発電」はまだ研究の余地があると考えます。平成22・23年に企業局が「バイナリ―発電(媒体はアンモニア)」の調査を行いましたが、このときは事業化は見送りました。ただ熱源次第では可能性が全くないわけでもなく、引き続き、各地の実証実験をウォッチしていきたいと思います。
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③は平成18年に運転開始した出力12000kWのバイオマス発電所。24時間稼働で2000kWを自社で消費し1万kWを売電しています。
建設費用は約45億円で経産省の補助金8億円を活用しました。現在は45億円ではできないとのこと。
木質バイオマス発電には、燃料材を混ぜる「混焼」と木材だけを使う「専焼」があり、同所は「専焼」施設です。
しかも「ペレット」でなく「木質チップ」で、未利用材・間伐材(比率40%)、一般材・剪定材(30%)、リサイクル廃材・建設廃材(30%)とのことです。
平成25年からの再生エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)では、燃料により1kWhあたりの買取価格が異なり、未利用材32円、一般材24円、リサイクル材13円となっています。
実際には3種の燃料を混ぜて使っているため、購入比率で売電価格を算出し、月あたり22円~25円程度と若干変動しているとのこと。
未利用材の調達は半径100km位。林業が盛んな日田ならではの立地ですが、近年バイオマス発電が増えており価格が上がっているのが課題とのこと。リサイクル廃材は九州一円から仕入れており、これらの価格は上がっていないようです。
立地に当たっては、行政の企業誘致活動のほか、送電網や燃料調達の物流を考慮したとのことでした。
地域経済循環を考えるにあたりエネルギーの地産地消は重要な観点です。現在、木質バイオマス発電施設は1県当たり3ヵ所ほどということでしたが、森林資源に恵まれた地域では立地上のメリットも大きくなります。木質バイオマス発電の可能性を探ってみます。
★訪問先企業のHP (4/1で社名変更したようです)
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④は人口増加都市福岡市の中でも注目されている「アイランドシティ」の中にある、計算上のCO2ゼロをめざすスマートタウン。太陽光発電施設の設置を義務づけています。
エネルギー使用の見える化などユニークな取り組みを行っており、戸建て住宅は平均6000万円後半ということですが人気の分譲地だということです。