ファルマバレープロジェクト

先週、会派有志でファルマバレープロジェクトの現状を視察しました。以下に概略を報告します。

◆静岡県医療健康産業研究開発センター(ファルマ新拠点)

旧長泉高校を増改築した施設で3月から一部オープンしました。医療機器大手企業のテルモが研究開発拠点として活用しています。

また、地元の自動車部品企業の東海部品工業も医療産業への本格参入をめざし入居準備を進めています。

9月にはプロジェクト支援・研究ゾーンもオープン。県の支援拠点であるファルマバレーセンターの他、深澤電工(下記)のような地域企業、サンスターのような製薬企業、さらに知財や事業支援に取り組む事業者などが入居を予定しています。

◆静岡がんセンター

国内では東京の国立がんセンターに次ぐ高い評価を得ているがん治療のフロントランナー。

手術支援ロボット“ダヴィンチ”をいち早く導入したほか、陽子線治療装置を持っており、治療だけでなくよろず相談やがん患者就労支援にも取り組んでいます。

課題は麻酔科医と看護師の確保。静岡県は四国4県(4大学)や北陸3県(4大学)と同規模の人口ですが医大が1つしかなく(浜松医大のみ)、医学生確保は大きな課題です。修学支援金制度がありますが、さらに検討が必要です。

がんセンターはファルマバレープロジェクトの中心的存在で、医療機関を中心とした地方創成モデルの中核を担っています。

県内の医療健康産業の生産額は47都道府県中第1位で1兆円近くになっていますが、今後の課題は大企業間の連携強化と、国内の企業誘致競争の激化による企業流出です。新拠点を活用した新たな展開が必要になります。

さらに山口総長は「海外展開支援も視野」と言います。がんセンターによるお墨付きで製品の信頼性を高め、さらにサービスソフトをパッケージにした医療健康産業の輸出なども検討すべきではとのご提案。ファルマバレープロジェクトの可能性は大きいですね。

◆深澤電工株式会社

長泉町にある電子機器やプリント基板の製造を行う従業員60人の地域企業。

社長は「従業員第一主義」を掲げ60歳以上15人、障がい者7人を雇用。障がいに配慮した作業工程づくりとともに「アビリンピック(全国障害者技能競技大会)」の優勝者を輩出するなど、素晴らしいUD職場をつくっています。

Dsc_2775さらに「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」が徹底されており、フロアにはゴミひとつなく、事務用品も必要最低限しか在庫していません(写真上)。

社長の机はさらにビックリ(写真下)。総務みなさんの机の横に申し訳程度に机が置いてあり、さらに“丸椅子”でした。

私の出身企業もなかなかのものですが、深澤電工さんはさらに数段上をいっています。民間企業の努力や取り組みを県庁も見習うべきです。

Dsc_2779同社は今年9月「ファルマバレー新拠点」に入居を予定しています。社長は「我々のような地元中小企業と医療産業をツナグことができるかどうかが、ファルマバレープロジェクトの成否」とおっしゃっていました。

中小事業者の現場の声を聴きながらファルマバレープロジェクトの事業展開に注目していきます。

◆特殊東海製紙「Pam」

特殊東海製紙は同行した髙田議員の所属企業。特殊東海製紙三島工場に隣接した展示・コミュニケーション施設「Pam」を見学させてもらいました。特殊紙の歴史や最新技術を導入した紙など興味深い展示が多数並んでいました。