福島県庁でのヒアリング
22日の福島県庁でヒアリングした内容を備忘録として書いておきます。
「企画調整部」から復興計画や復興支援、エネルギー政策の取組を、また「危機管理部」から東電福島第一原発の現状と県の監視体制、広域避難についてヒアリングしました。
県の平成28年度当初予算は1兆8819億円、うち1兆384億円分が震災・原子力災害対応分ということで、震災前に比べ予算規模が倍以上になっている。29年度当初はインフラ整備の進捗などにより1兆7184億円、復興関連は8750億円に減るとのこと。
震災復興計画では10の重点取組プロジェクトに設定し、あわせて地方創生総合戦略に基づく人口減少対策も進めている。主なものは「生活再建支援」「環境回復」「健康」「農林水産業」「新産業」などで国等の協力も得ながら多くの事業に取り組んでいる。
震災後16万人を超える避難者がいたが、6年経過した今も7.7万人が避難生活を送っている。そのため市町村と連携して県内外への避難者のために相談窓口の設置や広報資料などの情報提供を行ってきた。
徐々にではあるが避難指示区域の解除が進んでおり、今後は帰還や生活再建の情報提供が求められており、避難者の多い都府県に13人の職員を派遣し相談対応にあたっている。また県外避難者への相談業務のため、生活再建支援拠点の業務委託を25カ所で行い、本県では臨床心理士会がその任にあたる。
自主避難者への国の住宅支援が今年度末で打ち切られることから、県として29年度1/2上限3万円、30年度1/3上限2万円の家賃補助を継続実施するとのこと。
産業では復興関連事業や住宅新設は需要が旺盛で、有効求人倍率は全国を上回っている。また復興事業として雇用創出を視野に医療や再生エネルギーなど新産業の拠点整備に力を入れている。
農林水産業は改善傾向にあるが風評被害の影響もあり震災前の状況には回復していない。安全確保のためモニタリングを強化しており、今では山菜や野生きのこ、川魚を除く食材に放射性物質の基準値超過はない。今後は観光産業の再生に取り組んでいきたいとのこと。
インフラ整備は被災した公共土木施設の98%で事業着手し84%が完了。課題は「浜通り」で県全体の事業件数2126件のうち1566件を占める。うち事業完了は1234件(79%)。施工中289件(18%)、未着工48件(3%)となっている。
避難指示を解除された区域では徐々に復興事業が着手されているが、帰還困難区域ではいまだ災害査定もできていない。
エネルギー政策は2040年に再生可能エネルギーへの100%シフトを進める計画で、国の支援も受け洋上風力やバイオマス発電などさまざまな取組を進めている。
福島第一原発の現状は報道で伝えられるとおりだが、県としてHPを充実させて県民への情報提供を行っている。また監視体制では原子力対策監・原子力専門員を設置し知見を得るほか、廃炉安全監視協議会を設置し県としての監視体制を強化している。また駐在員を5人派遣している。
福島第二原発については廃炉を求める声が多く、県議会からも廃炉を求める意見書が出されているが、東京電力からはまだ今後の方向性は示されていない。
昨年12月に広域避難計画を改定した。UPZ圏内13市町村の避難先は県内46市町村を基本に、人口が多いいわき市については茨城県、新潟県も避難先としている。避難時に動線が重ならないよう計画されている。
避難先市町村に「避難中継所」を設置し、コミュニティ単位でまとまって避難するような仕組みをとっている。これは避難先にとっても一度にすべての避難所を開設せず徐々に開設できるメリットがあるという。本県でも参考にすべき仕組みと感じた。
なおこれらの情報は先日リンクした福島県のサイトに詳しく示されています。