熊本地震の避難者対策

視察2日目は熊本県宇城市。熊本地震では地震による直接被害だけでなく震災関連死が注目されました。今回は現場の実体験を聞き、被災者支援のあり方を学びました。

宇城市は熊本市の南に位置する人口約6万人(23,674世帯)の市です。2016年4月の熊本地震では、全壊539、大規模半壊362、半壊2,030、一部損壊5,634、地震による直接の死者はゼロですが、避難の段階で震災関連死が10人発生しました(申請は26件)。

震災関連死に認定されていないケースを含め「持病があった人」の病状が被災により悪化し死亡する例が多いとのことでした。

「地域防災計画」は策定済みでしたが、主に台風災害などを想定したもので、今回のような地震や長期避難の計画はなかったとのこと。

その中で、本震の翌日(4/17)に最大11,341人が避難。20カ所の避難場所にはスペースが足らず建物のピロティも使用し、テレビでもよく見かけましたが、車中避難者も多数いたとのことです。また避難場所以外の車中避難者は把握していないとのこと。

また防災計画の想定を超える甚大な被害により、健康福祉部門の業務負荷が増し、事前に取り決めていた職務分掌はマヒしたとのこと。

避難所では、被災者が徐々にお客様化(サービスを受けられて当たり前と思ってしまう)していったとのこと。平時からの地域住民主体の避難所運営訓練の必要を指摘されていました。今後は警備会社など民間企業との協働も検討するとのこと。

地域防災計画の見直しは本県でも必要で、すでに避難所運営マニュアルの見直しを行っていますが、実態に合った中味になっているかどうかチェックをするとともに、住民中心の避難所運営のためHUG(避難所運営ゲーム)を活かした運営訓練が必須と感じます。

合わせて避難所の収容能力についても再確認が必要かと。体育館だけでなく必要に応じて教室なども使用できるような仕組みが必要ではないでしょうか。トイレ対策や障がい児など要支援者対策、女性目線の避難所運営なども実態を踏まえた現実的な見直しが必要です。