グリーン成長戦略

昨日23(土)17時からのFM県政報告では、昨年末公表された「グリーン成長戦略」と県内産業への影響について取り上げました。

「グリーン成長戦略」は2050年カーボンニュートラルを見据え、今後の環境政策を経済成長につなげようというものです。

詳細は下記のリンク先をご覧いただければと思いますが、内容をごく簡単に言うと、成長が期待される14の産業分野について、現状の課題と今後のスケジュール(実行計画)が書かれています。

(参考)https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html

14の重要分野を私なりに簡単にくくってみると・・・、

洋上風力や水素、原子力、太陽光、燃料アンモニアなど「エネルギー」に関するもの。

自動車や船舶、航空機など「移動手段(モビリティ)」に関するもの。

物流や住宅建築物、情報通信など「生活インフラ」に関するもの。

さらに、食料・農林水産業やライフスタイルに関するものなど生活全般にわたるもの。

・・・となります(あくまでも私見です)。

ボリュームが多く、内容も難しいのですが、県の今後の産業戦略に大きな影響を与えますので引き続きチェックしていきます。

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この中で、静岡県の産業に大きな影響を与えるのがモビリティ分野、とりわけクルマの電動化です。

「電動車」については、「グリーン成長戦略」で「2030年代半ば」とされていましたが、先日の菅総理の施政方針演説では「2035年までに新車販売で電動車を100%を実現する」と年次を明言しました。

ここでいう「電動車」は、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HV)です。昨今のマスコミ報道ではEV・FCVととらえる向きもあるようですが、そうではありません。

またEVへの特化を進めることについては、電気を作る過程でのCO2排出を含め、エネルギー政策全体を考える必要があることを、過日、自工会豊田会長がクギを刺していました。

2035年というとあと14年。いずれにしてもクルマの電動化は避けて通れない道ですが、一般的に新車開発には5年から7年ほどかかるとされていますので、自動車メーカーは現在開発中のモデルはともかく、その次に開発するクルマは電動車を視野に進めることになり、2035年は目と鼻の先といえます。

課題の一つが電池です。「グリーン成長戦略」では、2030年までのできるだけ早期に、電気自動車とガソリン車の経済性が同等となるよう取り組むとしており、2030年以降は、次世代電池として期待されている「全固体電池」の本格実用化、さらに2035年頃に「革新型電池(フッ化物電池・亜鉛負極電池)」の実用化を目指すとしていますが、これでは遅いのではないでしょうか。小型化、軽量化、低価格化をスピードアップする必要があります。

また当面国内市場ではHVまで含めるとしても、世界市場で進むEV化を考えると、将来的にEV化で不要になる部品を作っているメーカーについては、スピードを上げて固有技術を活かした新たな事業展開を進める必要があります。

ちなみに静岡経済研究所の調査によると、2014年の自動車部品出荷額 2兆7243億円のうち、EV化で不要となるエンジンなどの関連部品は1兆4962億円で、当時の静岡県の製造品出荷額が約16兆円でしたので、県内製造業の1割近くが影響を受けることになります。

これらのものづくり産業を支援することが必要ですが、足元の生産を行いながら新技術の開発を進めるのは、中小企業のみなさんにとってなかなか厳しい現実があります。

県は「次世代自動車センター」を設置し支援を進めていますが、さらに質・量含めた支援が必要と考えます。来年度予算編成に向けてしっかりチェックしていきます。