堀留川の治水対策
少し前の話で恐縮ですが、7/26(火)朝の豪雨のため、堀留川流域では内水氾濫により雄踏街道バイパスが通行止めになったとのこと。私は県庁で見たお昼のニュースで知りました。
この日は7時前から雨脚が強くなり、私が7:40過ぎにバイパス通った時にはすでに路肩にかなり水が溜まり、このまま降り続けるとマズイな・・・と心配していました。
サイポスレーダーをチェックしましたが、案の定、氾濫注意水位に。
経験上、短時間に累計雨量が70mmを超えると堀留川周辺は「内水氾濫」を起こすことがあります。
浜松駅に着くと新幹線は運転見合わせ、1時間以上足止めされました。
バイパスの通行止めはたぶんこの頃だったのでしょうね。
ニュースでは雄踏や湖西の落雷による火災なども報道されました。被災された方にはお見舞い申し上げます。
後日、地元の方から「家の前の道はくるぶしの上まで水が来た。治水対策はどうなっているのか?」とお話を伺いましたので、堀留川の治水対策について簡単にご紹介します。
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「★洪水浸水想定区域図」というものがあります。また新たに出された「★洪水予報河川および水位周知河川以外における浸水想定区域図」もあります。リスクを避けるため、こうした情報をご覧になると良いと思います。
これは洪水浸水想定区域図の堀留川の部分を加工したものです。
堀留川流域では、昭和49.7(床上114戸、床下1168戸)と昭和50.10(床上251戸、床下2438戸)に最大規模な浸水が発生しました。この時は「内水氾濫」ではなく「洪水(外水氾濫)」だったとのことです。その後は洪水はありませんが、たびたび「内水氾濫」による浸水が続いています。「内水氾濫」は河川(堀留川)が増水することで、そこに流れこむべき水路の水が排水されなくなり、あふれてしまうものです。
これは宅地開発により雨天時に貯水機能を果たしていた農地が減ったことや、路面のアスファルト化などにより土地に浸透する雨水が減り水路に流れ込む量が増えたこと、また近年の豪雨の多発などが原因とされています。
このため地域では、平成20(2008)年から「堀留川を考える住民会議」を設置し、文芸大の先生やファシリテーターをコーディネーターに地域住民で議論を進めるとともに、現場を歩き、水路の状況や樋門を確認し、県・市に河川改修や貯水施設の設置等を提言しました。当時市議会議員になったばかりの私もこの会に参加しました。
その後、平成23年度「堀留川地域懇談会」を設置し、県や市が提示する治水対策案を住民で検証してきました。様々な意見が出されましたが、ここで堀留川の拡幅などの整備計画原案が固まりました。
以降、都田川水系河川整備基本方針の決定(H26.2)、同 河川整備計画の策定(H28.6)など必要な行政手続きを経て、平成29年度から河川改修事業がスタートしました。
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改修計画は下流から進められており、新川合流部から蜆塚排水路までの2.3㎞区間を、6つの「橋」を目安に工区を分けて実施されます。
狙いは、河川拡幅などにより豪雨時の流下水量を増やし、内水氾濫を防止することです。
現在は、新川の合流部から「明光(みょうこう)橋」までの区間で工事が行われており、合流部に水門を設置し新たに捷水路(放水路)を掘る工事が進められています。
水門工事の現場を見せていただきました。水門は高さ約14.5m、幅約42mで、堰柱の間には約15mのステンレス鋼のゲート(扉体)が2つあります。これまでも「明光橋」から遠目に見ることはできましたが、間近で見るとその大きさに圧倒されます。
県は当初、来年(令和5年)の出水期までに完成させたかったようですが、半導体不足で監視装置の手配にめどが立っていないことなどにより遅れているとのことで、現実的にはもうしばらくかかると思います。しかしこの水門と捷水路ができれば一定の効果は発揮されると思います。
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「明光橋」付近から上流部では拡幅工事が行われる予定です。現在の川幅約30mを62mまで広げます。下流域から徐々に拡幅工事が進む予定ですが、土地を提供していただくみなさんとの合意も欠かせません。
現在、「柏原(かしわばら)橋」までの区間で検討が進められていますが、具体的な工事着手は「明光橋」までができた後になります。また「明光橋」の架け替え工事も必要になりますが、道路と橋の所管は浜松市なので市との連携も重要になります。
交通量の多い上島柏原線「田端橋」の架け替えはさらに大きな課題になります。最後に「新川橋」ですが、入野小学校やスズキ本社が近いほか、周辺に店舗が多く平日、休日を問わず渋滞するところです。
全体工事の完成にはまだ20年以上かかる見込みですが、地域住民のみなさまの安全・安心確保のために少しでも早く実現するよう取り組んでまいります。