工業用水道事業の将来
「工業用水道事業」は県民生活には直接かかわりませんが、地域産業を支えるインフラ基盤の一つで、これがないと本県経済を支える製造業を中心とした企業活動が十分に行えなくなるリスクをはらんでいます。
本県の製造品出荷額は16兆円で全国4位。しかし、このままで大丈夫か・・・、私は非常に懸念しています。
本県工業用水道事業において、施設老朽化・耐震化対策やそれに伴う財政基盤のあり方、受水企業負担と産業政策上の取り扱いは、今後、大きな課題となるからです。
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本日、千葉県の工業用水道事業について訪問調査しました。
千葉県の製造品出荷額は約14兆円。京葉臨海工業地帯を中心とした全国6位の工業県です。
千葉県は平成28年2月議会で、工業用水道事業に対し「他会計からの出資(財政負担)」を行うこととしました。
「造成土地整理事業会計」から「工業用水道事業会計」にH27補正予算~H36年度までの10年間にわたり、毎年度30億円合計300億円の出資を行うものです。
「造成土地整理事業会計」は臨海工業地帯の造成が主な事業ですが、今後新たな造成計画はなく管理が中心になるため、出資可能と判断したようです。
千葉県工業用水道事業はS39年度から開始し、現在7地区で給水事業を行っています。
受水企業数はH7-8年度の302社をピークに現在276社ということで若干減っていますが、ここ10年ほど大きな変化はありません。工水料金は水源の確保が難しいため1㎥あたり17.5円~63円と本県に比べ割高です。
今後の施設更新と耐震化事業に約1853億円かかると試算。工業用水の安定給水は“県の産業競争力の維持・強化に重要”とコンセンサスを得、工業用水事業の財政基盤の充実と受水企業の新たな負担軽減を図るために出資を行うことにしました。
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これに対し本県ではまだ更新投資計画が策定されていません。まずはそれを早く見たいと思いますが、千葉県のように出資できそうな会計(おサイフ)はありません。
また千葉県のように産業政策上の位置づけがされていないため、独立会計=受益者負担の原則に従って企業負担が大きくなる一方です。
調査したところ、他の都道県の中でも19の団体で、総務省が提示している繰出基準を超える負担金、補助金、出資金を繰り出ししています。
現在、受水企業が減った分は、既存企業が負担していますが、今後、老朽更新や耐震工事が行われる場合の財政基盤のあり方を真剣に検討しないと、本県企業の競争力を弱めてしまうことになります。
この問題は、引き続き、課題提起していきます。