慶應義塾全国議員連盟
慶應義塾全国議員連盟の研修会に参加しました。年1回、超党派の地方議員が集まり情報交換を行っています。私は副会長を務めています。名ばかりですが・・・^^;
今回の研修内容を備忘録的に記しておきます。
①「慶應義塾体育会にみる福澤イズムと慶應らしさ」
都倉 武之 慶應義塾福澤研究センター准教授
小泉信三氏は「文武双全」と述べた。「ともに全うすべし」ということ。「練習は不可能を可能にする」ともしているが、決して精神論だけの根性主義ではない。また「Enjoy Baseball」は野球部のモットーだが楽しむだけではない。科学的に合理的にスポーツするのが塾の精神。
福澤先生は「体育の目的を忘るるなかれ」という評論の中で、体育を例に手段にとらわれ目的を見失うことを戒めている。体育は「身体を練磨し無病壮健であれば精神も活発爽快になる」「心身ともに健全なる者は、社会万般の難きを冒して独立の生活をなす」と述べている。
② 「地方自治について」
浅野 史郎 神奈川大学教授(元宮城県知事)
地方自治の本旨は住民自治と団体自治だが、住民自治が不十分。「地方自治は民主主義の最良の学校」というが、多くの住民は行政に無関心で、議会にはさらに無関心。
住民の声を聴くのが議員の役割。「役所はデスクワーク、議員はフットワーク、そして仕事はネットワーク」これを実践すべき。
自分たちが考えていることが政策につながるという実感があれば、住民満足度は高まる。島根県海士町は2300人の小さな町だが、住民が参加と討議行う“理想的な小ささ”を持って入る。参考にすべき。
③ 「最近の政治国際情勢」
石破 茂 衆議院議員(慶應義塾全国議員連盟 顧問)
○政治家像
歴代総理で、田中角栄、竹下登、橋本龍太郎、小泉純一郎、福田康夫の5人はすごかったと評価。
角さんは人間ではなく“魔神”と表現。ロッキード事件当時の父親との強い信頼関係を披露し、昨今の“角栄ブーム”は歴史になったからとも。
竹下さんは気配りの人。何があっても怒らないが目は笑っていなかった。消費税導入と引き換えに退陣したが「一人で辻立ちしてでもやる」という一面も。
橋本さんは「細かい、怒る、威張る」等評価もあるが、霞が関の課長補佐クラスの細かい政策を全部知っていた勉強家。孤高の人だった。
小泉さんは天才。人を好き嫌いでなく能力でしか見ない人。よくぶつかっていたので小泉政権(第1次改造内閣)で防衛庁長官をやるとは思っていなかった。有事法制を成立させたときのことを忘れないとも。小選挙区反対論者で「官邸の言うことしか聞かなくなる」と懸念していた。
福田さんは上司にするならこの人。
大臣は頑張ればなれる。党三役はもっと頑張ればなれるが、総理大臣は頑張っただけではなれない。「天」だ。
○政治姿勢
これまでは市議会議員が自治会長の仕事をし、県議会議員が市議会議員の仕事をし、国会議員が県議会議員の仕事をし、官僚が国会議員の仕事をしていた。
官僚は前例と法律があれば仕事をやる。しかしなければできない。今は前例がない時代。100年に1度の大変革期にある中、本質的議論をしないといけない。
○防衛
戦の原因は5つ。「領土・宗教・民族・政治・経済」だ。パワーバランスがとれていれば戦は起きない。冷戦時代はこれらにフタをしていたが、今はこれが崩れている。
United Nationsを日本では国際連合と訳しているが、中国では「連合国機構」としている。第二次大戦戦勝国の集まりだ。ドゴールは「同盟はともに戦うことはあっても、運命はともにしない」と述べた。よく考える必要がある。
25年前北朝鮮に行ったことが、防衛に着目したきっかけだ。「徹底した反日教育」「個人崇拝」「洗脳教育」が行われていた。
NATOでは、英仏は核保有し、その他の国はNuclear Sharingしている。(※核兵器に関する政策に対して決定力をもち、核兵器搭載可能な軍用機などの技術・装備を保持し、核兵器を自国領土内に備蓄する)
北朝鮮が核ミサイルを持った時、(米は)それでも日本を守るか。核の傘は大丈夫か。日本の選択をどうするのか。5発や10発なら落とせるが、30発飛んできたらムリだ。報復的抑止力か拒否的抑止力か、議論が必要だ。
○重点課題
医療費42兆円。うち50%は保険、10%は自己負担、40%は税金というが、借金で賄っている。これがサスティナブルか。儲かるところにしか病院はできない。偏在は直らない。
金融政策もサスティナブルでない。大規模金融緩和を行ってもおカネを借りてくれない。
日本の経済というが、1718自治体にはそれぞれの特徴がある。まちの特徴はそこにしかわからない。同じものを持っていけばよい時代ではない。リーサスシステムを活用し人口減対策を進め、AI時代になっても人間にしかできない仕事を創出してほしい。
ベクトルを変える。地方から国を変える気概で。
④ 「六本木ヒルズの都市再開発における文化の力」
壬生 基博 森アーツセンター副理事長
森ビルが考える都市像は立体緑園都市(バーチカルガーデンシティ)。高層化で緑地を確保、裏通りをなくし、緑豊かなコンパクトシティ。
六本木ヒルズはアートとインテリジェンスを融合したアーテリジェンスCity。世界の名だたる都市には文化の拠点がある。東京にも上野に集積があるが観光客は行かない。東京の“磁力”を高めるための文化政策が必要。
文化は新しい価値を創造し、世界に発信するパワーとなり、地域が活性化する。収益は低いが重要な取組。