立命館アジア太平洋大学
2度目の立命館アジア太平洋大学(APU)訪問。前回は2014年9月県議会次世代人材育成特別委員会で視察。その時は人材育成が主眼でしたが、今回は9月定例会で取り上げた「留学生受け入れ体制整備」がテーマです。
静岡県は近年外国人留学生が減少しており、今後の受入促進に向けたヒントを得る機会として再訪しました。ポイントは「留学生募集」「生活やお金など受入体制整備」「学習支援」と考え、先生のほか、日本人大学生2人、国際留学生2人からいろんな話を聞きました。
APUには、2017年11月時点で学生が5,818人在籍、うち留学生は89ヵ国2,991人と過半数を占めています。韓国505人、ベトナム477人、中国428人、インドネシア405人、タイ281人、バングラデシュ117人など東南アジア・南アジアが多く2,648人を占めています。
留学生募集は海外オフィスや現地協力者を用い、国・地域ごとに実施しているとのこと。国内からも年間50回出張、さらに高校生とのコンタクトは年11,000回以上ということで、このノウハウが大きいようです。
受入体制としては、最初の1年間は最大1,310人収容可能な国際学生寮APハウスで日本人学生と生活し、日本語のほかに生活習慣を学んでいます。同時に日本人学生にとっても多文化を学ぶ機会になり、話をした日本人学生も貴重な体験だったとのことでした。学生寮はRA(レジデンス・アシスタント)が24時間サポート。こうした体制も重要です。
学習支援は、先輩学生がサポートを行うSALC(Self Access Learning Center)が効果があるようで、台湾から来た国際留学生もお世話になったと話していました。
学生は地域のおまつりなど交流に参加するほか、小中学校でのALT支援も実施。地域全体の多文化共生にもつながっています。地元の高校との高大連携も実施しており、推薦枠を設け大学の単位をとれる高校もあるとのこと(日本人学生談)。
自治体連携では、福岡市、北九州市(近々)と連携協定を締結。地域貢献を進めるほか、東日本大震災被災地の気仙沼市への支援も実施。さらに市長とのつながりで飯田市とも連携しているとのことでした。
静岡県では、静岡大学がアジアブリッジプログラムを実施するなど積極的に取り組んでいますが、他大学には留学生の受け入れ目標などはありません。
大学単独での体制整備は難しいので「地域・大学コンソーシアム」を活用し、上記ポイントごとの支援体制の構築が必要です。
また東静岡の国際学生寮の議論が先行していますが、一気通貫したビジョンの策定が必要です。あわせて官民の役割分担も整理する必要があります。知事も、留学生受け入れ増に向け推進するとしていますので、今後の取り組みにつなげていきます。