4月補正予算(コロナ対策)の概要

28日のブログで「質疑と答弁の要旨をお伝えします」と書きましたが、項目ごとに概要をまとめた方がわかりやすいと思いますので、下記のとおりまとめてみました。

補正予算事業全体については下記のリンク先(県のサイト)をご覧ください。

★4月補正予算の概要

1.感染拡大防止策

(1)感染拡大防止協力促進事業(二本立て)

①県の休業要請に協力し休業する中小企業や個人事業主への協力金

4/27-5/6の間、遊興施設、遊技施設など県が休業要請する施設に対し1事業者20万円を助成

②県が要請しない業種で市町が独自に休業等を要請した場合の交付金

市町が交付対象とした日から5/6までの間、休業等を実施した事業者に市町が交付した経費の2分の1(上限20万円/1事業者)を市町に交付(飲食業、宿泊施設等)

国が補正予算を組んだ1兆円の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を財源に、35000件(70億円)を予算化しました。対象業種や手続きなどは県HPをご覧ください。

★新型コロナ中小企業 協力給付金ポータル

よく聞かれるのですが、この制度は【休業補償】ではありません。ご理解いただきたいのは、あくまでも【感染拡大防止のため休業してくれる事業者への協力金】ということです。

「対象事業者の線引きが実態に即していない」などご批判をいただいていますが、5/6までは現在の制度で運用させていただきたいと思います。

もし5/7以降も緊急事態宣言が延長され、制度を継続するようならば、対象業種の精査を求めます。

ただしこの場合、財源が大きな課題となります。国として交付金を増設してくれないと厳しい・・・というのが率直なところです。

(2)広報体制の強化

SNSを活用したプッシュ型情報の提供、LINEアカウントの開設

「今は来ないで!静岡県」のPR

県HPのコロナ対応臨時トップページによる啓発

★静岡県 臨時トップページ

2.医療体制整備

(1)組織体制の強化

専任の「新型コロナウイルス感染症対策チーム(37人)」設置

保健所新型コロナ担当部署の増員75人→147人

帰国者・接触者相談センター電話相談体制の強化(平日昼間 保健所16台→コールセンター業務委託20台、夜間休日 同1台 → 3台)

PCR検査件数389件→1000件(5月末見込・民間含む)医師会に協力いただき「地域外来・検査センター」を設置

(2)病床の確保

感染症指定医療機関41床に加え、一般病床を含め200床を確保

軽症者用に宿泊施設を確保(東中西各100人分程度)。5月上旬には医療スタッフの体制構築も整う見込み

(3)その他

医療従事者等への資器材確保

医療・介護・障がい者施設等への資材整備(需要調査しマスク等2ヵ月分確保を目標)

オンライン診療実施医療機関を県HPで紹介

3.学校休校対策

本日、県教育委員会は、県立学校の休校を5/31(日)まで再延長することを公表しました。なお、感染が収束に向かっていると確認が取れれば、一定の準備期間を設けた上で再開を前倒しすることも検討します。

(1)補習等支援事業

退職教職員や教員志望の大学生などを県内全小中学校に配置し、週8時間・3ヵ月程度補習対応(※県の所管範囲は政令市以外)

(2)オンライン学習への対応

すべての県立高校で実施できるよう7月には機器整備を完了予定

(3)こころのSOSサポート事業

主に中学生を対象にLINE相談を拡充し心のケアを実施

4.事業者・生活者支援策

国の「特別定額給付金」「持続化給付金」などのほか、県として下記のような支援を行っています。

(1)生活福祉資金貸付制度

3/25から社会福祉協議会で受付していますが、すでにリーマンショック時の1年分の件数に迫っているとのこと。県は窓口相談体制も支援しますが、サポートする人材不足が課題です。4/30から新たに「ろうきん」でも受付がはじまりました。

★生活福祉資金貸付制度(静岡県社会福祉協議会)

(2)雇用調整助成金

制度自体は国が運用しており、さらに拡充される見込みです。県は相談体制を支援します。手続書類の簡素化も検討されているようですが、こちらも相談体制が課題です。

★雇用調整助成金(厚労省)

(3)県制度融資

市町との連携で実質無利子となっているケースが多いこの制度。3月に新型コロナ対策枠を500億円用意しましたが、4/17までに2334億円の申し込みがあり、枠を追加しました。事業者のみなさまにはご心配をおかけして申し訳ありません。

今回補正で、従来、日本政策金融公庫が取り扱っていた「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度」を、県制度融資に取り込み、市中金融機関でも扱えるようになりました。ただし、融資上限は3000万円となっていますのでご留意ください。(政策金融公庫は従来どおり取り扱います)

また県制度融資(コロナ対応)は新たに500億円の枠を追加しますが、保証料をご負担いただくことになります。

この制度の充実は、県の基金に限りがある中、いかに財源をねん出するかが大きな課題です。今回の制度構築には約45億円の基金を活用しています。財源確保を進め、今後の資金需要に対応できるよう、全力で取り組んでいきます。

★経済変動対策貸付(新型コロナウイルス感染症対応枠)

(4)その他

テイクアウト商品の開発など新たなビジネスモデルにチャレンジする小規模事業者への支援。総額1億円(補助率3分の2、上限50万円)

売上減少の中、新たな事業展開に取り組む中小企業・小規模事業者に初期費用等を援助。総額1億円(補助率3分の2、上限200万円)

ITなどを活用した企業活動回復支援事業。総額2億円

5.県財政への影響

補正額264億6700万円の歳入は、国庫支出金186億7800万円、県債4億400万円、繰入金73億8500万円となっています。繰入金のうち約69億円が、いわゆる「活用可能基金(=貯金)」です。

「活用可能基金」は当初予算編成後で208億円となっていましたが、3月補正で22億円を取り崩しており、今回、さらに69億円使うということで残117億円となります。

この額は近年では低い水準であり、県財政に余裕はありません。緊急事態だからこそ積極的な支援策が求められるのですが、県には、国の“赤字国債”のような財源確保策がありませんので、2の矢、3の矢を放つ場合の財源が懸念されます。

前述しましたが、休業協力金はある意味「国頼み」ですし、制度融資は基金残高と相談になります。

また、国の対策には26兆円相当の「納税猶予」が含まれており、この中には県税も含まれます。事業者のみなさまにとってはありがたいことですが、県財政からすると、基幹財源の県税収入が減るということですので、今年度の事業実施はさらに深刻になります。この場合、穴埋めは起債(借金)となり、加えて来年度の税収も大幅減となりますので、県は間違いなく「財政危機」に陥ります。

私は日頃から事業の廃止・見直しを提言していますが、こんな時だからこそ、オリンピックの延期や観光関連事業など今年度実施できない事業や、毎年度、漫然とやっている事業に対して、「その事業はコロナ対策より優先するものかどうか」を、しっかりと問いただして財源確保を進めてまいります。

なお、議員報酬削減について議論を始めています。5/20に予定されている臨時会で決定する見込みですが、ふじのくに県民クラブは1割削減を念頭に検討しています。

【写真は、「議場に迷い込んだハトがどこに行ったかな~」と一瞬視線を傍聴席に送った時のカット。目線がヘンですが・・・^^;】

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