決算審査での地方公会計の活用
コロナ禍の中、限られた財源を効果的に活用する財政運営が求められます。
県議会6月定例会では「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う事業費の減額」が示されるはずです。11日に議案が公表されるはずですが、当局のみなさんがどのくらいチェックしているか楽しみです。
今回に限らず、事業の精査はいつの時代も不可欠です。
事業部門は「行政評価」でこれを行い、財政当局は「予算編成」で行います。
これに対し議会は主に「決算審査」でこれに取り組みますが、私は不十分だと思っています(「予算審査」でもやりますが予算案で上がったものを否決することはめったにありません)。
決算委員会では、主に、当局が用意した「主要事業実績報告書」をもとにチェックしていますが、行政評価(静岡県では「施策展開表」)などはあまり活用されていません。ましてや「財務諸表」を使っている人はほとんど見たことがありません。
私は以前からチェックするようにしていますが、とてもわかりやすい解説書を教えていただきました。
総務省が公表したこの資料、462ページもあるので一瞬躊躇しましたが、前半は「作成の手引き」なので飛ばして、P315からの「財務書類等活用の手引き」を片手に分析するとよさそうです。
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まずH30年度の財務諸表を見ていきます。
公会計改革の効果がわかりやすいのは「資産」の分析です。
「貸借対照表」と注記、付属明細書をみると、まず「減価償却累計額」の比率が高いのが目につきます(=資産の老朽化)。以前から「部局別」に分析できるよう資料提供を求めていますがいまだに実現していません。
「投資損失引当金」では第三セクター「磐田原総合開発(株)」の経営悪化がわかります。
動いていない「基金」も一目瞭然です。基金を寝かしておくのはもったいないです。これも以前指摘し有効活用してもらいました。
このほか「行政コスト計算書」は民間企業では「損益計算書」、「純資産変動計算書」は「株主資本等変動計算書」、「資金収支計算書」は「キャッシュフロー計算書」にあたります。それぞれ今後分析してみます。
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P323から「指標による分析」があります。
①資産の状況
「住民一人当たり資産額」、「有形固定資産減価償却率」などにより課題をわかりやすく説明できると思います。
②資産と負債の比率
「純資産比率」が3.2%となっています。これは将来世代の負担が大きいことを表します。他県と比較したとき静岡県の純資産比率はかなり低い方だと思います。
「社会資本等形成の世代間負担比率(将来世代負担比率)」は70.99%です。この計算は「地方債残高÷有形・無形固定資産合計」で表します。この地方債残高には「臨財債」を含めないのですが、総務省の理屈ではそうなるんでしょうね・・・。
③負債の状況
「住民一人当たり負債額」、「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」が例示されています。また「債務償還可能年数」が参考指標として示されています。
P339からは「セグメント分析」が出てきます。これが最も有効活用できそうですが、静岡県はまだここまでできていません。今後に期待します。
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今年の夏は監査委員として決算を審査しますが、こうした視点で分析してみたいと思っています。