教職員給与の権限移譲
「補完性、近接性の原理(原則)」という言葉があります。身近なことは身近なところでできればそれに越したことはありません。実態に即したことができるからです。
地方自治でいえば、「地域でできることは地域で」、「地域でできないことは市町村で」、「市町村でできないことは都道府県で」・・・という考え方です。
私もできるだけ権限移譲を進めるべきと考えている一人です。
そんな中、「政令市の教職員給与を道府県から政令市に移譲する」ことが両者の間で合意されました。
★制度の説明(政令指定都市市長会のサイト)
最大のメリットは、これまで「任免権(人事異動や採用)」は移譲されていましたが、結果的におカネを道府県が握っていたために、採用や加配などで限定的だった教職員の定数管理なども政令市ができるようになることです。
少人数学級編成や発達教育支援、外国人支援など、さまざまな面で、現場に応じた教職員の配置が可能になります。今回の権限移譲のメリットはかなり大きいと思います。
一方、課題は「財源移譲」です。今回の合意によると、「住民税」のうち 県:市の比率を、従来の4:6→2:8にするとしています。しかしこの税源移譲では財源の全てを賄うことはできません。
足らないところは「国に地方交付税措置を求める」としていますが、これまでも書いているとおり、地方交付税をこれ以上増額することはほぼ困難です。したがって「臨時財政対策債」に頼らざるを得なくなるのが実態です。
浜松市のように教育に熱心で、しかもストイックな財政運営をしている政令市にとっては、痛し痒しの権限移譲になるのではないでしょうか。
こうした課題をいかに解決し、財政健全化と住民サービス向上を図るかが行政経営の大きなテーマです。
地方交付税をめぐっては、広域合併した市などへの増額が検討されていますが、場当たり的な対策だけでなく根本的な見直しを考えてほしいですね。