ポートランド開発局(ポートランド視察報告5)

5/11(木)、ポートランド開発局(PDC=Portland Development Commission)を訪問。

対応者は、山崎 満広 氏(都市開発部 国際事業開発オフィサー)。4月末に大阪でお会いし事前の打ち合わせをし、ポイントを絞ってポートランドの都市開発の考え方をうかがいました。

PDCが行っている住民主体のまちづくりのポイントは、まず「行政が住民を抑えない」ということ。それには行政職員の育成が重要で、これまでの考え方を変える必要がある。

オレゴン州は40年かかってここまで来たが、日本には時間が無い。1世代で変われるかがカギで、20代30代の育成が大切。

職員や議員の意識改革にPSUのカリキュラムは有効。カラを破ってほしい。

次に具体的なプログラムの優先順位をつくること。「どのボタンを押せばよいか」を誰が見てもわかる仕組みが必要。

そのためにはまず「現状の教科書(評価書)」を1年間で作ること。そして、「アドバイザリー・ボード」等を設置し、外部の目で見てもらい、「現状分析→評価→課題→方向性→ベンチマーク」を示すこと。

そこに「人(住民・ディベロッパー・PDC)」+「計画」+「おカネ」を加えて検討する。

ポートランド流のまちづくり手法は日本でも「柏の葉キャンパス(千葉県)」などで行っており、ここでは調整池の計画を変更し親水公園にした例がある。これはポートランドの成功体験を具現化した例だ。

ポートランド市の仕組みは市町村にはなじむが、県は組織が違う。広域自治体である県が「アドバイザリー・ボード」を作る場合は、①世界中の英知を集めおカネも拾ってくる、②県のスペシャリティチームを作り各地の取組を調整する、③市町長・議員の調整を行うことが肝要ではないか。

このほか「東静岡文化力の拠点」をケースに官民連携の意見を聴きましたが、ダイバーシティの考え方を入れることや当事者の意見を聴くことが重要ではないかとのこと。

また、職員の人材育成に対しては、日常の仕事にとらわれず10年20年先にその仕事が必要かどうか、よく考えるべきとも。

氏からは高校卒業後アメリカにわたりアメリカ社会を生き抜いてきたたくましさと、アメリカ的な発想を存分に伺うことができました。

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オフィスでの意見交換の後、氏が開発に携わったPearl地区を視察。

ここは20世紀初頭の建築物をうまく再利用しながら、居住人口の確保と歩いて楽しめるまちづくりを行っています。

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1階には大きなウインドウを持った個性的なショップが並び、2階以上には居住空間を確保しています。歩道も比較的広くとってあり歩きやすさを優先しています。

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公園空間もふんだんにあり、居住者の住宅付加価値を高めています。

バスやトラムなど公共交通が発達していますが、路上駐車をOKとし買い物などの利便性も確保しています。

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このほかオレゴン州には1979年に制定された「都市成長境界線」という特徴的な土地利用規制があります。

こうした住民参画のまちづくりの仕組みを踏まえると、今後の県土づくりは・・・、

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県が「内陸フロンティア」構想などを軸に、住民を巻き込んで県全体のまちづくりや景観構想の大枠を作り、それを共有化することがまず大切で・・・、

次に、具体的な都市計画は市町の役割ですが、中長期的な視点で、地域の特性を活かし、住民を巻き込んだ都市構想を作り、20年30年スパンで徐々に進めていくことが重要・・・、

と感じました。

「今より早い時はない」。20年30年先を見すえて取り組んでいきたいですね。

【上2枚はPearl地区。下3枚はダウンタウンの別地区。一番下は路駐されているシェアリングカー】