ポートランド州立大学(ポートランド視察報告4)

Dscf1741

5/11(木)、ポートランド州立大学(PSU Portland State University)を訪問。

対応者は、パブリックサービス研究・実践センター 副所長の西芝 雅美 氏と、経済学教授の伊藤 宏之 氏(写真)。

人口減少社会を迎え財政状況が厳しくなる中、私は、「住民参画」は日本の地方自治にとって重要なカギとなると考えており、以前からこの大学の取り組みに関心がありました。

今回は短時間ではありましたが非常に有用なご意見をうかがうことができました。同行した鈴木議員は、すでに8月に再訪するとしています。

ポートランドには先進的な住民参加システム「ネイバーフッドアソシエーション(Neighborhood Association)」があります。

西芝先生はこの合意形成における住民との対話の重要性などに着目し、PSUのカリキュラムに「Community Based Learning」「Service Learning」と言われる手法を導入し、これまでも東京財団の「週末学校(自治体職員研修)」を受け入れています。

「ネイバーフッドアソシエーション」は、ポートランド市内に96あるエリアごとに分かれた住民参画組織で、イメージ的には「自治会連合会」に近いものです。

日本との大きな違いは、行政の肩代わりではなく、住民から声が上がるしくみを持っていることですが、もちろん最初からこうしたシステムがあったわけではなく、ポートランドでも最初はぶつかっていたということです。

伊藤先生は本来経済学者ですが、震災復興事業に関心がおありで、日本の東日本大震災の復興事業に日本とポートランドの合意形成のしくみの違いがよく表れていると指摘されています。

たとえば、想定津波高より低いコンクリートの防潮堤や、耕す見込みがない田んぼの復旧など、どの程度民意を反映しているのか疑問。中央政府は地方政府を信用していないように見受けられるが、もっと自治体の自立を促すべきだが、現在はお互いに責任がない状態になっていると言います。

さらに民主主義の基本は政府の介入が無いこと(民間でできることは民間で・・・補完性の原理ですね)で、震災復興事業の予算が減ってきてNPOが引き上げているが、本来は民間のアイデアを採用して行政が予算化すべきであり、日本のNPOビジネスは逆行している。行政が丸抱えでなく、少なくとも50:50で民間の自助努力も必要としながら事業をやるべき。日本はノンプロフィットセクターを育てるべきではないかと厳しく指摘されています。

最後に西芝先生から「Community Based Learning」や「Service Learning」を静岡県でも県立大等で取り入れてはどうかとの提案をいただきました。

PSUは国際部で1週間単位の留学を受け入れており、早稲田大学や広島修道大学(2週間)から来た学生が住民参加やイノベーションのプログラムを行っているとのこと。

このほか8月には自治体関係者や議員、一般市民を対象にしたプログラムを実施し、10月には日本の大学関係者を招いた会議を予定しているので、そうした機会への参加促進も考えられます。

すでに牧之原市で取り組みが進んでいますが、静岡県内でも住民と行政との新たな関係づくりを進める必要があります。