視察③ 革新的農業実践特区(新潟市)

米どころ新潟が取り組む「国家戦略特区」の取組について視察しました。加計学園問題で評判の悪い特区制度ですが、基本的には間違っていないと思います。新潟市でも積極的な事業展開を目の当たりにしました。

新潟市は平成23年から6次産業化など6つの戦略からなる「ニューフードバレー構想」に取り組んできました。これに加え平成26年5月、国家戦略特区の指定により、規制緩和による農業改革に取り組んでいます。

最大の特徴は民間企業の参入活性化です。

新潟市から始まった「農業生産法人の設立要件緩和」は平成28年度から全国展開されましたが、この先行実施によりコンビニやJRなど販路を持った事業者の参入による販売力強化や、農機具メーカー参入による耕作放棄地の再生、農福連携による障がい者雇用促進など効果が出ています。

人口減少対策として農業関連産業での雇用創出にも取り組んでいます。新規就農者は年間約60人。しかし家業の継承ではなく農事法人への就労が主とのこと。

さらにさまざまな「アグリプロジェクト」が展開されています。クボタは農機具としてドローンの活用を進めており、農薬散布はすでに実用化し、施肥や種まきを検討中。ドコモもドローンを利用した稲や松の病害虫対策を検討中。またイセキは自動運転によるICT田植機を開発中とのこと。

このほか、ICT活用による圃場管理の効率化や、本県のAOIプロジェクトのような取組(AI農業)も推進中。さらにAirbnbとの連携で農家民泊を検討しているとのことでした。

「規制緩和」はやはり地域活性化のカギですね。

民間企業はチャンスがあるとみると寄ってきます。規制緩和によってICTやドローンの活用など、イノベーションを起こす事業のマッチングを支援すべきです。

新潟はそのベースに県の主要産業である「農業」を選びましたが、本県であれば「ものづくり」でしょう。

産業成長戦略会議で規制緩和の議論を進めていますが、ベンチャー起業家やICT関連の若手経営者などの話を聞くと、さまざまなアイディアが出てきそうですね。

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