利子376億円(当初予算の個人的な見方)

平成27年度 当初予算額 1兆2397億円は、平成13年度の1兆3215億円以来、14年ぶりの規模となります。

補正予算を加えた決算額では、リーマンショックの平成21年度に大型の経済対策を行ったことから1兆2321億円となっていましたが、いずれにしても久々の規模と言えます。

川勝知事が進める「理想郷“ふじのくに”」づくりを進めるとともに、各会派の政策要望に着実に応える予算案となっており、職員のみなさんの努力は大いに評価に値すると思います。

◆歳入

○県税

歳入は、主要な財源である「県税」が前年度比で+500億円(+5%)の4820億円となっています。

主要な税源である法人二税は1,306億円(+216億円)、特に法人事業税が+223億円と大幅増になっています。

「企業業績の回復」と言いたいところですが、法人税改革による影響額が+139億円ありますので(地方法人特別譲与税が△99億円)、本格的な本県の景気回復とまでは言い切れないと思います。

県税増加の最大要因は、地方消費税832億円(+243億円)です。

消費税8%のうち1.7%は地方消費税と呼ばれ地方自治体に配分されます(5%当時は1%)。平成26年度の消費税引き上げによる税収アップが、H26年度は途中から反映されましたが、H27年度は12か月分フルに反映されるため増加します。

○地方消費税清算金

地方消費税は都道府県ごとに消費水準に応じて清算する仕組みになっています。これにより他の都道府県からの地方消費税清算金として1,382億円(+439億円)の収入を見込んでいます。

○地方交付税

地方交付税は県税等の増収により、1,315億円(△130億円)を見込んでいます。

○県債

歳入の注意点「県債」。

“現金主義”では県税も県債も同じ歳入として扱われますが、貸借対照表では“純資産”と“負債”に分かれます。大きな違いです。

議案では、金利上限を「10%以内」としていますが、こんな途方もない上限金利の設定をしている自治体はあるのかなぁ…。この件については昨年のブログ記事をご覧ください。

★最大の債務負担行為?(2014.3.5のブログ)

通常債は631億円(当初予算比△40億円)で、ほぼH26年度決算と同程度を見込んでいます。

臨時財政対策債は地方交付税同様減少し、1,030億円(△170億円)となっています。上記を合わせた起債総額は1661億円(△210億円)となります。

退職手当債は「通常債」に含まれますが、H27年度40億円の発行を見込み、総発行額は660億円、残高は618億円となる見込みです。

なお「満期一括償還」から「定時償還(均等払)」を増やすことによって、利子の削減に努めているようです。資金運用による財源捻出にはさまざまな手法があると思いますが、工夫してほしいですね(私も勉強します)。

◆歳出

歳出では、義務的経費が6,568億円(+134億円)となっています。

内訳は、人件費が3,631億円(+43億円)、扶助費1,005億円(+67億円)、公債費1,838億円(+18億円)などです。

人件費は昨年の人事委員会勧告に基づく給与改定に伴う増、扶助費は「子ども子育て支援新制度」に伴う増によるものです。

税収関連法定経費が1,842億円(+525億円)と増加しています。これは歳入の地方消費税と大きく関連しています。

まず地方消費税清算金として、収入と同時に本県から他の都道府県への支出金もあります。これが824億円(+263億円)あります。

さらに地方消費税交付金として、県内の市町に約1/2が交付されます。これが704億円(+223億円)と増えています。この2つだけで税収関連法定経費は1,528億円となります。

投資的経費は1,746億円(▲79億円)と前年度比4.3%のマイナスになっています。高校再編整備や草薙総合運動場など計画事業の完了による減ということですが、今後、富士山静岡空港の増築改修なども計画されています。

その他の政策経常費は2,241億円(+14億円)とほぼ前年並みです。

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私の目標のひとつに「財政健全化」があります。人口減少社会に適応していくためにも、浜松市のように県債残高を減らしていきたいと思っています。

一般会計当初予算では、起債額が1,661億円、公債費が1,838億円となっており、一見、借金よりも返済金のほうが多いように見えます。

しかし残念ながら、公債費1,838億円のうち、元金償還にあたる部分は1,448億円分にとどまり、利子分が376億円分もあるということでした(その他は手数料など)。

一般会計の利子だけで376億円もの税金(一般財源)が消えてなくなるんですよね…。

これにより一般会計の県債残高はH26年度末の2兆7,254億円 → H27年度末には2兆7,467億円となる見込みです(213億円増=1,661-1,448)。

「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」は黒字になるのかもしれませんが、浜松市のように「財政収支」に着目すべきです。

私たちは金利や利子にもっと敏感になるべきと思います。

また臨時財政対策債の残高は、ついに1兆円を突破する見込みです(1兆368億円)。たまったものではありません。地方財政計画の見直しを強く求めていきます。