ポートランド危機管理局(ポートランド視察報告3)
5/10(水)、ポートランド危機管理局(PBEM Portland Bureau of Emergency Management)を訪問しました。対応者は写真のジェレミー・ヴァン・コーレン氏(NET Program Manager)。
オレゴン州の住民が感じている大きなリスクは「銃乱射事件」や「戦争」ということで、日米の差を感じます。これに加え米国南部では「ハリケーン」ということですが、一般的に「地震」のリスク認識は低いようです。
カリフォルニア州周辺では大きな地震が発生していますが、オレゴン州の住民は大きな地震の経験がありません。しかし歴史上300年に1度の頻度でM8クラスの地震が発生しているとのデータが示されています。
行政当局は危機感を募らせていますが住民の関心は薄く、ポートランド市は消防局組織を改編しNET(Neighborhood Emergency Team)を結成し、地震防災対策を進めています。
NETは住民有志の災害対策チームであり、日本の消防団や自主防災隊に近い位置づけです。現在ポートランド市のNETメンバーは1250人。研修中の予備軍が300人います。
年間12時間の研修を受けており、平均年齢は52歳で男48%、女52%と女性が多いとのこと。
平均年齢が高いことから、高校生や大学生にも募集をかけており、「障がい者でもやれることはある」と門戸を広げています。
出動は2年前までは年に2-3回でしたが、昨年は30回。これは市消防がNETの存在感を知ったことによるもので、最近は豪雨災害などでも出動しているとのこと。団員の招集は緊急時で20%、気象異常など予測可能な場合は40%とのこと。
PBEMの常駐者は18人で、施設内には「ECC(Emergency Control Center)」があります。2年半前に22億円かけて設置。各種災害に対応できる施設。M9クラスの地震でも100人が2週間活動できるような備蓄と発電施設等を持っています。
PBEMの組織自体は私たちにとっては目新しいものではありませんが、NETのような老若男女を問わない自主的組織はとてもユニークです。
自らの能力を活かして地域貢献しようという地域住民による、自主防災隊と地区社協を合わせたような住民組織ができると、実際の災害時にも今以上に機能するのではないかと感じました。