コロナ対応企業支援を議論(産業委員会①)

県議10年目にして3度目となる産業委員会。

6月定例会の委員会で、経済産業部所管事務調査として取り上げた項目は次のとおりです。

【経済産業部】

◆外国人求職者への対応

Q.フードバンクによると月間千件を超える食料支援のうち4割が外国人世帯。6月補正で技能実習生再就職支援事業を予算化したが、課題は技能実習生よりも以前からいる派遣労働者。6月補正で東中西3カ所のジョブステーションに通訳を1人ずつ配置したが、たぶん足りない。国際交流協会と連携した支援が必要。失業者把握と再就職支援、日本語教育を就労支援として強化すべき。

A.国際交流協会だけでなく、入国管理局、労働局、市町、経済団体等が一堂に会した外国人材活躍推進協議会を開催。外国人の支援に関係するネットワークができた。困ったことがあれば、このネットワークを利用して解決していく。日本語教育については、定住外国人の日本語能力と企業が求める日本語能力との間には大きな差がある。企業が本当に業務で必要とする日本語レベルを把握していく必要がある。また、職業訓練では必要に応じて日本語のカリキュラムを増やしていく。

◆BCP策定支援

Q.これまでも中小企業での策定が遅れていた。今回さらに感染症対策が新たに求められることになったが、モデル作成は進んでいるのか?また、これまで同様のワークショップ、セミナーだけでは普及しないのではないか。BCM(ビジネス・コンテュニティ・マネジメント)へのブラッシュアップも必要ではないか。

A.BCPモデルプランの改訂に向けて、中小企業診断士等の専門家から意見を聴取し、検討を行っているところである。新たに商工会、商工会議所と連携しオンラインによる実践的なBCP策定セミナーを行い、終了後に、各企業の実態に沿った相談やアドバイスが受けられるような個別相談を実施する。BCMについては、BCPモデルプラン第3版という理想的な県のモデルプランがあり、これがBCMに相当する。いきなり中小企業が策定するのは難しいため、まずは簡易なモデルプランを策定し、第3版にステップアップしていくよう取り組んでいく。

◆企業誘致の強化

Q.コロナによる東京一極集中への懐疑で一層の取組強化が必要。医療産業や研究開発機能の誘致が重要。また件数・面積だけでなく「内容」をよく見ていく必要があるのではないか。またテレワークとかサテライトオフィスとか色々な働き方が増えている。そういったニーズに対応できるITやテレワークに強い職員が東京事務所にいるか。

A.医療・健康産業は重点的な誘致を進めるために東京事務所に医療機器のメーカーOBを専門の企業誘致推進員として配置して誘致に努めている。付加価値の高い企業、静岡県が得意な分野で連携が出来る企業の誘致に努めている。東京事務所には、静岡県出身のIT企業の方でアドバイスいただける方がいるということは伺っている。実際にテレワーク、サテライトオフィスの誘致に結びつくまではいっていない。

◆海外展開企業支援

Q.本県経済はアジア経済に大きく影響されるので、海外展開議業の動向をウォッチする必要あり。進出先の国が行うコロナ対策制度が企業に届かない。現地サポートデスクでの情報提供、進出企業への国内での情報提供を進めるべき。

A.緊急時にはプッシュ型といわれる情報提供をしている。今回、東南アジア各国政府による支援策がよくわからないとの問い合わせがあり、東南アジア駐在員事務所から各国のサポートデスクの協力を得てベトナム、シンガポール、インドネシアの3国について規制や支援策などをまとめた冊子を作り、現地進出企業とその県内企業の本社に送った。

◆事業承継の強化

Q.「事業承継2025年問題」と言われてきたが、コロナの影響による売上減少などで廃業を考える事業者が増えることが考えられるため強化すべき。法人2税が県財政の大きな基盤である以上、経産部の最重要課題の一つ。民間金融機関主体で事業展開しているが、県の役割を強化すべき。

A.事業承継の診断は各地域の商工会、商工会議所や金融機関の各支店が行っている。プッシュ型事業は県産業振興財団と静岡商工会議所が、事業引継ぎ支援センターは静岡商工会議所が受けている国の事業であるが、県はこれらを統括する立場として、3者で毎月、意見・情報交換を行っており、これからも連携をとりながら進めていく。

◆中小企業支援

Q.次世代自動車センター浜松が4月に実施した会員企業アンケート報告書では、4月時点の中小企業の経営課題を踏まえ、開発負担の軽減のために試作部品製作に対する支援上限額の引き上げの検討、人材育成・社員教育の遅れに対するWebセミナー開催、部品調達ニーズに対するWebサイトを活用した「マッチング支援」、大学や研究機関の「研究シーズ」と企業の「技術ニーズ」のマッチングなどを支援していくとしている。これら、次世代自動車センターの動きを支援することに加え、他の業種でも同様のことは起きているはずなので、産業支援機関を活用して重点支援すべき。

A.アンケート結果では、資金繰りや雇用の維持のほか、企業の研究開発費の削減による研究開発の進展の遅れが生じていることが明らかになった。これを受けて、センターでは会員企業に対して3つの支援を検討している。支援策の拡充に要する経費については、新型コロナの影響でセンターの一部事業が取り止めになったことから、当初予算の範囲内で対応できるものとセンターからは伺っているが、引き続き、現場の声をしっかりと聞き今後の経済状況等を踏まえて、浜松市と連携して新たに支援策を検討するなど、本県の基幹産業である自動車産業をしっかりと支えていく。