企業局の広域連携(産業委員会②)

企業局の事業は、一部の水道事業を除いて直接県民生活にかかわらないため、例年、質問する議員が少ないのですが、今回はみな積極的に質問していました。老朽化対策などの質問をする予定でしたが、他議員との重複を避け、大きく下記2点について取り上げました。

Q.広域連携について

(1)工業用水の広域化

富士川工業用水道と東駿河湾工業用水道は給水エリアが重複しており、料金的な違い等はあるが、効率的な経営を考えた場合、連携していくことが必要ではないかと思われる。

(2)水道施設の広域化

榛南水道と大井川広域企業団との統合について伺う。

(3)人材育成

水質検査や人材育成における、市町技術者を支える取組について伺う。

A.答弁

(1)富士川工業用水、東駿河湾工業用水とも大口ユーザーが利用を廃止したことにより、かなり経営状況が厳しくなっている。このことから、両工業用水については、抜本的な経営改善を考えており、具体的には事業の統合による資金の効率的な運用や事務の効率化を図っていく。

もう一つはハード的な統合による、効率的な水運用な管路網の再編等を検討している。施設の維持管理費や改築に要する経費、断水等リスクの軽減等、様々な観点から6つの案を検討しており、年内に最も効率的に運用できる案をユーザーにお示しし、ユーザーの声を聞きながら進めていきたいと考えている。

(2)榛南水道と大井川広域企業団との統合について、企業団、御前崎市、牧之原市、企業局の4者で昨年度から本格的な検討をすすめている。昨年度、担当者レベルで検討した結果、それぞれが単独で更新するよりも、統合するほうが有利との結論に至った。

今年度は、施設整備費の精査と負担方法、企業団が榛南水道から引継ぐ資産や負債の取り扱い、不用となる榛南水道施設の撤去方法や費用負担などについて協議している。

統合を実現するためには、令和4年度以降に策定する企業団の施設更新実施計画に榛南水道と大井川広域水道との統合を盛り込む必要があることから、今年度内の統合方針の決定、令和3年度内の基本協定の締結を目指している。

(3)県内の市町で水質検査スタッフを抱えているのは静岡市や浜松市等に限られていることから、局では市町に対して水質検査のサポートに関するアンケートを実施した。

検査業務を外注している市町において、外注先への立入り検査での技術的な留意ポイントを知りたい等のニーズが判明したため、今後は局と市町による勉強会の場を活用し、体制に不安のある市町を支援していきたいと考えている。

また、企業局では実物の管路を使って技術習得できる研修施設を有しており、これらを活用した研修では、県内市町のみならず他県からも多数の職員が参加できる仕組みとなっている。研修の講師は局のベテラン職員が務めているが、50歳代が多くなってきていることから、世代交代を図る取組として講師研修も始めている。

◆工業用水道への操出基準の見直しについて

Q.増井局長の時、工業用水道への操出基準の見直しを国に要望してもらった経緯があるが、その後進展はどうか伺う。

A.現在も要望しているが、消火栓等の整備に関するものしか認められていない。国にとっても何かメリットがないと財務省に制度改正を説明するのは難しい。全国的にやっていかないと、いずれ立ち行かなくなる団体が出てくる。繰出しが難しければ、努力しているところには補助というような形で、お互いにメリットがあるような形で提案していきたい。