6月定例会 産業委員会②(企業局)

備忘録その2です。企業局の持ち時間は30分となっています。

けっこうガチでやってます。

◆地域振興整備事業のあり方

最初に地域振興整備事業のあり方について質問します。平成25年9月定例会の一般質問で取り上げたんですけれども、その再々質問になります。
 

第3期中期経営計画の29ページに検討結果が載っていました。

「地域振興整備事業については、経済産業部の企業誘致部門との統合を検討するとしていたが云々」、と書いてありますけれども、「会計制度の独立性をより厳格に確保すべきとの要請があること、工業用水道事業及び水道事業の運営主体として企業局組織を存置する一方で地域振興整備事業のみ知事部局と統合することは、会計処理等の事務執行の上で効率的でないことなどから組織統合を行わない」と書いてあるんですね。

でも私はさっきからの説明を聞いていて、県庁内の二重行政にしか見えないんですよね。

例えば地域振興整備事業の会計は、条例で公営企業会計をとっています。そのこと自体はいいと思うんです。

企業局で専門職員を置いてやらなければいけない工水とか水道はそうだと思うんですけれども、地域振興整備事業の会計が企業会計でやっていても、知事部局でやることは可能だと思うんですよ。その点についてお答えいただければと思います。

○新プロジェクト推進室長

地域振興整備事業の会計を知事部局に合わせられないかという御指摘でございますけれども、この地域振興整備事業は、確かに土地の造成ということを考えますと、必ずしも知事部局で絶対できないかというとそうではないのかもしれません。

ただ我々の業として行っている土地の買収あるいは分譲、これを企業に販売するという、そういう土地売買の特徴、あるいはこれは不本意ですけれども、もし仮に長期間売れない土地が出た場合、それを管理維持していくという状況を考えますと、やはりこれを特別会計で進めていかなければならないという意味では、第3期中期経営計画にございますとおり、採算性を重視して会計制度の独立性を厳格に確保するという点だと思います。
 

それで、今の状況を判断した上で、これを仮に知事部局が持ったとなっても、会計はやはり特別会計で維持するということになりますと、現状、企業局が持っている工水水道会計と企業局で行うことがやはり一番効率的だと考えております。

◆再質問

特別会計ではなく企業会計ですね。企業会計でやることを僕は反対しているわけじゃないんですよ。企業会計でやるのはいいんですけれども、知事部局でもできるはずなんです。だから担当者が例えば企業局の方が兼務でやってもできるわけなんですよ。

工水は企業局としてやらなきゃいけないんだけれども、兼務でできるんです。私は地域振興整備事業をさっき言った造成して売却をするというのは、経済産業部がやっている企業立地と完全に合致しているんですよね。

だから、この事業についても結論を第3期中期経営計画の29ページで出しているんですけれども、再度、統合を検討すべきじゃないのかと。

さっきの総合戦略を見ても、経済産業部企業立地推進課と企業局が併記して書いてあるわけじゃないですか。これは二重行政ですよ。いかがですか。企業局長。

○企業局長

第3期中期経営計画で、そのような課題に対して当面措置等を行うということで一応記載はしてございます。

私もダブるという感じが印象としてはあります。知事部局でも企業会計でやらなきゃいけない、それから企業局のみでやらなきゃいけないということがあって、それで地方公営企業法では、工水と水道については、一応、管理者のもとで企業会計のもとに行うということになっております。

土地の造成の部分については県の条例で規定して企業局で行っている状況になっていて、そのときに一緒にしたという経緯もありますので、経緯もよく調べながら考えていきたいと思います。

私は今のところはひとつのところでやっているほうが合理的かな思っておりますけれども、条例をつくって企業局のところに一元化したという経緯もございますので、そういった部分もちょっと勉強してみたいと思っています。

◆企業局のメリットを生かし切れていないことについて

これ以上、今日は質問しませんけれども、僕も継続してこれを調査しますので、ぜひ検討を続けてもらいたいと思っています。

 

以前、地域振興整備事業は、レディメードじゃなくてオーダーメードにしました。以来、受注がほとんどなくなってしまったという経過を2年前のときに取り上げたんですけれども、やっぱり皆様、レディメードのときに塩漬けになっちゃったというトラウマで臨機応変に対応ができない組織になっちゃっているんですよ。

企業局としてやるメリットを生かし切ってないんですね。

ですから、例えば新東名ができて内陸フロンティアをやるというときには、私はあのときにも言いましたけれども、県が把握している工業用地は、たしか50ヘクタールを切っていたはずなんですよ。

今、内陸フロンティアで既に各市町から工業用地として計画があるのを積み重ねると、多分600ヘクタールを超えているんですね。さらにさっき言ったような湖西地域で160ヘクタールつくるとか、それは別なんですよね。

もう既に年間100件で6年間ぐらい誘致をするだけの土地が確保されようとしている。だから、もう遅いんです。企業局の判断というのは。その点についていかがでしょうか。

○新プロジェクト推進室長

委員御指摘のとおり、新東名の御殿場ジャンクションから引佐まで開通する時代に関しては、企業局が当時経営リスクを重視しておりまして、その当時に新たにレディメードを行うという事業はございませんでした。

ただし内陸フロンティアを拓く取り組みを進めている中におきまして、今、我々は御案内のとおり、小山湯船原工業団地を整備しておりまして、これは新東名の御殿場ジャンクション以東の開通予定である平成32年に間に合う形で今、スピード感を持って取り組んでおります。

こういうことから、現時点では私たちは出おくれるということじゃなくて、スピード感を持ってそれを取り返す覚悟で今、取り組んでいるということでございます。

それから、もう1点、オーダーメードですけれども、こちらの受注がなくなっているということがございましたけれども、実際には企業が進出の希望があれば、随時受注を受けております。

今、引き続き各市町と連携しながら新たな受注を働きかけておりまして、交通インフラが整備されていくこの時代に決して乗りおくれないように取り組んでいる状況でございます。

◆高コスト体質について

企業局を使うメリットとしては、公共事業ということで農地の規制のところのクリアが比較的容易だというのがあるんですが、例えばその点についても今、規制緩和の動きが進んでいますよね。

ですから、市や町あるいは事業者が企業局を使うメリットはだんだんだんだん減ってきていると。私は競争力がなくなってきていると思います。

そこで、一番問題なのはコストなんですよ。

これは2年前にも質問したんですが、どうしてもコストが高い。そのコストを吸収するために、あろうことか、第3期中期経営計画の18ページに「市町と協力をして負担軽減策を検討する」。要は、企業局のコストが高いから市町に負担しろと言っているようなもんなんですね。

これでは県の全体最適につながらないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○新プロジェクト推進室長

ただいまのコストが高いという御指摘でございましたけれども、我々は公共事業といたしまして、あくまでも法令、規則等のルールにのっとって競争入札を執行しておりますので、決して高いとか安いとか、そういう比較ができるものではなくて、あくまでも適正に造成費を決定していると考えております。

それから、農地法等の規制緩和につきましては、これは農地を許可する側の権限移譲が今、市町におろされているという状況がございますけれども、当事者となって農地法の許可を得るということに関しましては、これはまだ従来の法律どおりでございまして、そういう意味では、企業局が行うメリットは現在も続いているというように伺っています。

農地法、森林法、都市計画法、こういった許可が適用除外になっており、その協議を行政機関同士で行うこと、これは時間短縮のメリットは現在もあると考えております。

○経営課長

第3期中期経営計画の18ページの記述でございますけれども、ここにあります企業進出により大きな恩恵を受ける地元市町と県関係部局と一体となってという意味は、我々は造成をする、造成をするためには土地を購入して、造成費用をかけて原価を出すわけですけれども、買う方、企業の方にはそこを何らか安くできるようにということで、例えば市町による助成制度とか、そういったものを意味しているということで、我々の原価を肩がわりさせようと、そういった意味ではございません。

同じように書いてありますが、その工程にありますような周辺道路の整備ですとかインフラ整備、そういったことで進出をよりしやすくするような努力を市町にもやっていただきたいと。

要するに、我々も努力する、市町も努力すると、そういった形で進めてまいりたいと、そういう記述の意味でございます。

◆工業団地の売り出し方について

民間のディベロッパーでも同じようにやればいいわけで、できちゃうわけです。ですから、競争力が少し下がってきているよというのは指摘しておきたいと思います。

地域振興整備事業の件はこれぐらいにしておきますけれども、私、思ったんですけれどもね、富士山を借景にした森にたたずむ工業団地、いいかもしれませんが、これはやっぱりオマケですよね、きっとね。

多分一義的には企業の皆さんはコストであったり、あるいはちゃんと従業員が集まるんであろうかとか、あるいは物流面がどうかとか、そういうのを観点に私は用地を選択すると思うんです。

とりわけ、きのうも経済産業部で話になったのは、今、北関東のあたりが非常にコストが安くて、企業進出が旺盛だというのに本当に対応できるのかどうかというのは、私は、富士山の借景だけではなかなか企業は来てくれないような気がするんですが、そこら辺のところをどうお考えでしょうか。

○新プロジェクト推進室長

この森にたたずむ工業団地のコンセプトは、これはやはり世界文化遺産の富士山の麓につくる工業団地ということで、周辺との調和を考えて進めております。

確かに委員御指摘のとおり、その分がもしかしたら土地の分譲価格のアップにつながるのではないかという御指摘でございますけれども、我々は工業用地の造成をするコストは、これはもう緻密に計算をいたします。

それで最終的な分譲価格は、競争力を持った価格にしないと売れないと思っておりますので、その分譲価格と、それからより質の高い工業団地をつくるという両方をうまくにらみながら、最もバランスのとれるコストと価格で造成していきたいと考えております。

◆要望

もちろんうまくいくことを僕も願っているんですよ。でもやっぱり、お客様の目線で考えたほうがいいのかなと思います。

お客様が見ているところは、もしかしたら違うかもしれないよというのを常に考えながら企業誘致に働きかけていただきたいなと思います。

◆工業用水道料金のあり方について

今回、湖西工業用水道のお話がありました。これは私もこれまでも何度もお話を聞いておりますので、反対することはいたしません。

企業努力は引き続き続けていただきたいなと思っておりますし、営業活動をやったんだけれども、結局、受水企業はふえていないもんですから、ぜひそこのところはこれから先もしっかりとやっていただきたいと思っています。

ちょっと違う観点で工業用水道全般の話をしたいんですけれども、きのう経済産業部にも質問したんですが、こういう事業にとってコストアップ要因になるものは、ボディーブローのように効いてくると思っているんですね。

私は、これを企業立地の逆インセンティブという言い方をしているんですけれども、ぜひこの点についてもう少し検討をしていただきたいと思います。

ちなみに、委員会説明資料で今度、西遠工業用水道の見直しをするというのがあったもんですから、西遠工業用水道を例に話をしますけれども、ピーク時に126社あった受水企業が今88社に減っているんですね。

率にして30%減、38社減っていますけれども、今の工業用水道の会計の仕組みっていうのは受水企業が負担をする。要は、移転をした、あるいは事業をやめてしまった企業の分も今の受水企業が負担をする仕組みになっちゃっているんですよ。

我々からするとありがたいですよ、企業がこの大変な時代に残ってくれているんですから。その皆さんの負担に乗っかるというのは、先ほど来言っている逆インセンティブになるんだろうと思うんですけれども、どのように認識をしていらっしゃるかお願いします。

○経営課長

先ほど出ました西遠工業用水道ですけれども、契約率が27%、26%という数字の中で今のようなお話、確かに企業の皆様にお話しいただくと、非常に厳しいと聞きます。

我々として、西遠工業用水道の料金の見直しをここに書いてございますのは、西遠工業用水道につきましては、料金改定をずっとやってきませんでした。

今、残っていただいている皆様から出ていった人たちの分をもらうのは大変であるという考え方もありましたが、今回、取水をしています三方原用水の改築事業がございまして、それにつきましては、今、水を使っていただいているユーザーの皆様が今後安心して安定的に水を使っていただけるための投資でございますので、その投資については、当然、料金にはね返る分があります。

工事が着手される前にまだ数年ございますので、しっかりと時間をかけてユーザーの皆様に説明をした上で、納得をいただければ料金の見直しについても進めていきたいと考えております。

◆再質問

西遠工業用水道の話に特化しちゃったんですけれども、私は、企業が減っている中で受水企業にさらにおっかぶせることについてどうかと聞いたんですけれども。

○経営課長

地方公営企業法の原則というのもあります。給水収益による独立採算ということで、それを守る旨があります。

ただ一方では、値段を上げるとコストの競争に負けてしまうと。他県の工場、自社の工場間でもそういった競争があって負けてしまうんだというお話も聞きます。

我々の工業用水の今の値段は、全国から見ますとそんなに高い位置ではなくて、平均でいきますと安いほうから9番目ぐらいの位置にあります。

今後値上げをお願いしていきますと、それはだんだん高い位置に行くには行くんですけれども、例えばそれが一番高くなってしまうようなこと、あるいは今の料金の2倍とか3倍になってしまうようなことは今想定しておりませんけれども、そういう事態というのはやはり産業の血液と言われる工業用水の豊富で廉価な工業用水を給水するという目的からも外れてまいると思いますので、それについては状況を見ながら新たな策があるかどうか検討してまいりたいと考えております。

◆要望

きのうは経済産業部が一生懸命に企業誘致をしている、あるいは企業立地を外に行かないようにという取り組みを人口減少対策としてやっているという中で、独立採算を背負わざるを得ない工業用水事業ということは僕もわかっているんですけれども、この事業が県の全体の政策と整合がとれていないような気がしてならんのです。

この点については、一般会計からの繰り出し基準は非常にハードルが高いのも承知をしていますけれども、そういうことであるとか、あるいは経済産業部の産業政策としての何らかの企業立地の対策とか、そういうことをやっぱり全庁的に考えていただく必要があると思うんですね。

工業用水のことは皆さんのほうがわかっているわけですから、そこら辺のところもぜひ経済産業部と連携をとって県全体の産業政策につなげていってほしい。

なおかつ、人口減少対策につながるわけですから、そういう観点でやっていただきたいなというのを要望しておきます。

◆企業局長の在任期間と企業経営について

ちょっと厳しい質問かもしれませんが、企業局長の在籍期間を以前調べてもらったことがあるんですよ。

前企業局長1年、その前の○○さん1年、○○さんが2年、その前の○○さんが1年と。

独立した民間企業であれば、社長が1年ずつで交代するなんていうことはまずあり得ないわけなんですけれども、私はそもそも企業局が、企業としてのミッションをしっかりと持って事業推進をしていくということにつながってこないんじゃないかなと、懸念をしているわけです。その点についてお考えを伺いたいと思います。

○経営課長

本県の企業局長は、地方公営企業法で規定する公営企業管理者に当たります。公営企業管理者は、公営企業の業務を遂行させるために知事が任命するということで、公営企業では常勤特別職で任期は4年と規定されています。

実際、本県の場合は、企業局長は人事異動の一環として県の部長級の異動で動いているのが実際でございます。

しかしながら、経営の趣旨は、先ほども出ました中期経営計画に沿って、4年に一度見直しをしながらこの経営計画に沿って行っておりますので、企業局長が交代をしても企業局としての方針はその計画に基づいて推進していくということで支障はないと考えております。

◆要望

そう答えるほかにないですよね。うまくいってないとは言えないわけですから。

でもさっき私がお話したように、オーダーメードからレディメードへの切りかえですとか、そういう転換が多分できないのが僕は今ネックになっているんじゃないかなと懸念をしているんですね。そういうところは改善点の1つだと思うんですよね。

最近、公立病院なんかは、管理者を数年間やってもらうことによって、大分、経営改革をやっている公立病院も出てきているわけですよね。ぜひ企業局もそういう観点での経営をやっていただきたいと思っていますので、私の意見としてお話をしておきたいと思います。

◆経営戦略の策定について

地方公営企業法の中で経営戦略の策定が今回義務づけられましたので、恐らく皆さんもやられるんだろうと思います。

今回、何も資料がなかったもんですから、確認しておきたいんですけれども、特に私は、今回の一般質問でも取り上げたんですが、企業局の存在価値はやっぱり市町を越えた支援をする方向に徐々にシフトしていくべきじゃないかなと思っているんですね。

今回、楱南水道と大井川広域水道事業団との広域連携とか、ほかのケースもありましたけれども、そういうところをもう少し目をつけていくのはどうかなと思うんですけれども、経営戦略をどういうふうにつくっていくかということと、今、言った広域連携についての考えをお聞かせいただきたいと思います。

○経営課長

まず、経営戦略についてでありますけれども、総務省の指導によりまして各公営企業が将来にわたって安定的に経営をするということで、どこも我々と同じように、工業用水とか水道といったインフラを抱えておりますので、基本的には今持っているものを更新して、なおかつ大丈夫であるというような設備投資の計画と財源計画をバランスを合わせて、必要によっては例えば料金値上げもやっていくというような計画も含めて立てるという趣旨になっております。

企業局におきましては、今、中期経営計画、経営見通しは4年、長いものでは10年というのをつくっておりますけれども、今、設備投資の計画は平成35年までしかありません。

今、マスタープランをつくっておりますけれども、向こう30年から50年というスパンで求められておりますので、そういったものをつくる中で、平成28年度を目途につくろうと思っております。ですので、経営戦略についてはこれからということでございます。

それから、お話のありました広域化に関して企業局の役割ということでございますけれども、大井川広域水道企業団と我々が管理をしています楱南水道、同じ区域に水を供給して、飲料水を供給しているんですけれども、今のところ大井川広域水道企業団に対しまして楱南水道を統合すると、そういう形で協議を進めております。

それ以外の例えば遠州水道でありますとか駿豆水道、こちらも市町に用水を供給していますけれども、市町から経営が厳しいであるとか、そういったことで、例えば統合というようなことでのお話は今のところ聞いておりませんので、お話があれば検討したいと思います。

◆要望

最後に要望だけしておきますが、実はきのう委員会視察の話をしたんですが、そのときに、「水みらい広島」もターゲットの1つに上がっているんですけれども、広島の企業局が市や町の持っている水道、あるいは工水なんかも民間を使ってやっていこうという事例です。

そういうのをぜひこれからも研究を続けていただいて、企業局の改革を進めていただきたいと思います。終わります。